全国各地の書店に本を流通させる下準備がおおむね終わった。各地の書店へのFAX送信も終え、さっそく注文も届いている。注文書に「ブログ拝見しました~」と一筆添えてくれた書店さんもあって、とても嬉しくなる。ありがとうございます。気持ちも引き締まります。
書店で本を手に取って、それを買ってもらえることは、とても嬉しい。まずは本を売る王道は書店だし、今後もそうあり続けてほしい。そのために自分が何ができるかも、今後の出版活動のなかで考えていきたい。
と、同時に、直接、自分が作った本を、自分で売ることができるようにもしたい。その手始めに、HPで本が買えるようにしたいのだけど、難航している。あの出版社のHPみたいにしたい! というアバウトなイメージを形にするのは、この手の作業に慣れていない人間にとっては、なかなか難しい。刊行する本の情報ももっと見やすい形にしたい。HPで本を買える仕組みを作るとともに、決算方法をどうするのか、郵送には何を使うのかなど、決めなければいけないことも多い。
出版社が本を売るには、書店に本を置いてもらう以外にも、いろいろな方法がある。
たとえば、京都に事務所を構える編集グループSUREという出版社の本は、限定的な書店以外への流通はせず、定期的に本の案内をまとめたチラシの郵送やHPにて注文を募り、直接本を届けている。
鶴見俊輔さんが『思想の科学』で連載していたミニコミ、地域サークル誌を紹介する文章をまとめた『日本の地下水──ちいさなメディアから』や、法哲学者の那須耕介さんが「なぜ、好きでもない人たちといっしょに社会を作らなければならないのか」をテーマに語った『社会と自分のあいだの難関』、現代韓国文学ブームのはじまりと言えるパク・ミンギュの『カステラ』や、作家の再評価のきっかけとなった『佐藤泰志作品集』を刊行する図書出版クレイン(いまさらながら、クレインさんも「図書出版」だった!)の文弘樹さんが25年間の出版活動を語る『こんな本をつくってきた──図書出版クレインと私』などなど、書評が掲載されたり、話題になった本を多く刊行している。SUREで編集をする瀧口夕美さんが書いた『民族衣装を着なかったアイヌ──北の女たちから伝えられたこと』は、とても好きな一冊。
本のカバーのイラストも、SUREの北沢街子さんが書き下ろしている。自分たちで本を作って、自分たちで売る、を実践して、学ばされること、考えさせられることがとても多い。
出版社はきっと、こういうところからスタートしている。思えば、前に所属していた、今年創業145年となる老舗出版社も、元を正せば、ひとりの人間が貸本屋→本の行商を経て、本を作るようになった会社だ。作ること、にばかり目が行ってしまうのだけれど、本をどうやって読者の手元に届けるのかも、考え続けなければいけない。できることは限られてはしまうけど、本を売る方法や機会はどんどん増やしていきたい。
いろいろ考えてしまうけど、まずは、なんとか本の情報を記したページから、ポチっとボタンを押すと購入画面に行けるようにします。それまでの間、もし直接本を購入したい、という方がいらっしゃいましたら、ひとまずhori@tosho-migiwa.comに購入希望のメールをください。購入方法などご返信をいたします。